手術室・中央材料室で使用される「その他手術用消耗品」は、術中の安全管理・感染対策・スタッフ保護など多岐にわたる用途をカバーする重要な物品群です。ガーゼカウント用トレー、手術ガウン・キャップ、皮膚用接着剤、X線造影糸入りガーゼなど、品目ごとに規格・素材・用途が異なるため、施設の手術件数や術式・運用フローに合わせた適切な選定が求められます。本ガイドでは、購買担当者・材料室スタッフが押さえておきたい選び方のポイントを中立的にまとめています。
「その他手術用消耗品」は、ガーゼ管理・スタッフ防護・皮膚処置補助・器具固定など、手術を支える周辺用品を幅広く含みます。まず品目ごとに「誰が・どの場面で・どのように使うか」を整理し、必要なスペックを明確にすることが選定の第一歩です。また、医療機器区分に該当する製品(皮膚用接着剤・X線造影糸入りガーゼ等)は、薬機法上の承認・認証状況を必ず確認してください。最終的な採用可否は、院内の手術部門責任者・材料管理担当者・感染対策委員会など専門家と連携して判断することを推奨します。
以下に代表的な品目の特徴と選定時の着眼点をまとめます。施設の運用方針や術式の種類に応じて、適切な品目・規格を組み合わせて選定してください。
【ガーゼカウント用トレー】
術中・術後のガーゼカウントミスを防ぐための補助具です。収容枚数(例:20枚対応タイプ等)や仕切りの構造が製品によって異なります。使用するガーゼ枚数や手術室のスペースに合わせたサイズを選びましょう。
【X線造影糸入りガーゼ(滅菌OPカウントガーゼ)】
体内遺残防止のためX線造影糸を織り込んだ体内用ガーゼです。サイズ(例:30×30cm等)・枚数構成(例:10枚×10袋入り)・滅菌有無を確認します。管理医療機器に該当する製品が多く、承認状況の確認が必須です。
【手術ガウン・手術帽(サージカルキャップ)】
感染対策・スタッフ保護の観点から、素材(不織布・布製)・サイズ展開・ひも止め方式(例:左ひも止め式等)・フードの有無などを確認します。使い捨てか再利用可かによってもコストや管理方法が変わります。
【皮膚用接着剤(リキバンドシリーズ等)】
皮膚の閉鎖補助や固定を目的とした製品で、製品ラインにより粘度・塗布量・乾燥時間などが異なります。医療機器に該当するため、使用目的・用途範囲を添付文書で確認のうえ、使用者(医師・看護師)と適応を共有してください。
【手術器具固定用スポンジ】
器具の位置固定や保護に用いるスポンジ類です。サイズ・素材・粘着の有無などを術式・使用器具に応じて選定します。
【メッシュエプロン】
手洗い・器材処理時のスタッフ保護を目的とした防水性エプロンです。素材・サイズ・洗浄耐久性を確認します。
手術用消耗品は「1枚単位」「袋入り(複数枚)」「箱単位」など包装形態が多様です。発注単位・在庫スペース・使用頻度に応じた適切なロットサイズを選ぶことで、過剰在庫や欠品リスクを低減できます。また、使い捨て製品は個別包装(未開封保証)か、バルク包装かによって清潔操作上の取り扱いが異なります。サイズ展開(SS〜LLなど)が豊富な製品は、スタッフ体型に合わせた選定ができるため、着用感や防護性能の確保につながります。
手術用消耗品は保管環境や取り扱いが製品品質・安全性に直結します。以下の点を施設内ルールとして徹底しましょう。
滅菌製品については、包装の破損・濡れ・圧迫がないかを開封前に必ず確認してください。外包が損傷している場合は使用を中止し、廃棄・交換の手順に従います。保管場所は直射日光・高温多湿を避け、指定の温湿度環境を維持することが基本です。
皮膚用接着剤は揮発性の成分を含む製品があるため、開封後は速やかに使用し、換気を確保した環境で取り扱います。万一、眼・粘膜への付着が起きた場合は製品の添付文書に従い適切に対処してください。
ガーゼ類は使用枚数を術前・術後に必ずダブルチェックし、カウント記録を残す運用を推奨します。X線造影糸入りガーゼはカウント不一致時のX線確認手順と合わせて管理してください。
Q1. 使い捨ての手術ガウンと布製再利用ガウンはどちらを選ぶべきですか?
A. 使い捨てタイプは洗濯・滅菌の手間がなく感染リスク管理がしやすい反面、廃棄コストが発生します。布製再利用タイプは繰り返し使えますが、洗濯・滅菌管理のコストと手間が伴います。手術件数・中央材料室の処理能力・コスト方針に応じて施設ごとに検討してください。
Q2. X線造影糸入りガーゼと通常のガーゼは何が違いますか?
A. X線造影糸入りガーゼは、術中に体腔内に残留した場合でもX線撮影で発見できるよう、X線に映る糸が織り込まれています。体内に留置する可能性がある術中ガーゼには、造影糸入りの製品の使用が推奨されます(院内プロトコルに従ってください)。
Q3. 皮膚用接着剤は誰でも使用できますか?
A. 皮膚用接着剤は医療機器に該当し、適応や禁忌が定められています。使用にあたっては必ず添付文書を確認し、適切な資格・訓練を受けた医療従事者が使用してください。院内での使用手順書の整備も推奨します。
Q4. サージカルキャップはフードタイプと帽子タイプどちらがよいですか?
A. フードタイプは毛髪の落下リスクをより広範囲に抑えられるため、清潔区域での感染対策上好まれる場合があります。用途・院内規定・スタッフの髪型(長さ)に応じて使い分けを検討してください。
その他手術用消耗品は品目数が多く、それぞれに用途・規格・法規制上の位置づけが異なります。選定にあたっては「安全管理(ガーゼカウント・体内遺残防止)」「感染対策(ガウン・キャップ・エプロン)」「処置補助(皮膚用接着剤・固定用スポンジ)」の3つの軸で品目を整理し、施設の術式・手術件数・スタッフ人数に見合った規格・入数を選ぶことがコスト管理にもつながります。医療機器に該当する製品については、薬機法上の承認・認証状況の確認と、手術部門責任者・感染管理担当者など専門家への最終確認を必ず行ってください。定期的な在庫見直しと使用期限管理を組み合わせ、安全で効率的な手術室運営を支える消耗品管理体制を整えましょう。