病棟や介護施設での移動補助用品は、患者・利用者の安全な移動を支える重要な器具です。歩行器・車いすにはさまざまな種類・規格があり、使用者の身体状況や使用環境に合わせた選定が求められます。本ガイドでは、購買担当者・看護スタッフが商品を選ぶ際に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
移動補助用品を選ぶ際、最初に確認すべきは「誰が・どのような目的で・どこで使うか」という3点です。歩行能力が残っているか否か、自力でこぐ自走が可能かどうか、病棟内の廊下幅やトイレの広さなど環境条件も選定に大きく影響します。用途を明確にすることで、適切なカテゴリ(歩行器 or 車いす)と仕様を絞り込むことができます。なお、医療機器に該当する製品の最終選定は、医師や理学療法士・作業療法士などの専門職と連携して判断することをお勧めします。
歩行器はフレームを支えにしながら歩くことを補助する器具で、主に「サークル(固定)型」と「歩行車(折りたたみ)型」に分かれます。サークル型はフレームが輪状で安定性が高く、アルコーSK型やアルコー8型などがその代表例です。一方、折りたたみ式歩行車(スタンダードタイプ・ミニタイプなど)は収納・移動に便利で、スペースが限られる施設にも適しています。また、点滴スタンドを兼用できるガートル棒セット対応モデルも存在し、術後や処置中の患者の移動に役立ちます。高さ調整機能の有無も使用者の体格に合わせる上で重要なポイントです。
車いすは大きく「自走用」「介助用」「リクライニング用」に分類されます。自走用は使用者自身が手でこぐタイプで、大きな後輪が特徴です。介助用は介助者が押すことを前提とした小型・軽量設計が多く、病棟内での搬送に適しています。フレーム素材はスチール製とアルミ製があり、アルミ製は軽量で取り回しがよく、スチール製はコストを抑えやすい傾向があります。リクライニング車いすは、座位保持が困難な方や長時間の移動・待機が必要な場合に適しています。背折れ(折りたたみ)機能の有無も保管スペースの観点から確認しましょう。
安全に使用するために、カタログスペックの読み方を押さえておきましょう。車いすの座幅は「22-40SB」などの型番に含まれており、数字が座幅(cm)を示すのが一般的です。タイヤの種類は「ソリッドタイヤ(ノーパンクタイヤ)」と「ハイブリッドタイヤ(エアレスウレタン等)」などがあり、パンクリスクの低減や乗り心地に違いがあります。耐荷重は使用者の体格に応じて確認が必要です。歩行器では外寸(W×D×H)が使用場所の通路幅・ドア幅に収まるかを必ず確認してください。
移動補助用品は定期的な点検とメンテナンスが安全使用の前提となります。使用前にはネジのゆるみ・フレームのガタつき・ブレーキの効き具合を確認する習慣をつけましょう。タイヤの空気圧管理(エアタイヤの場合)も定期的に行う必要があります。保管時は直射日光・高温多湿を避け、折りたたみ式は立てかけずに安定した状態で置くことが推奨されます。複数台を管理する施設では、台数・使用者・点検日を記録する管理台帳の整備も有効です。
Q. 歩行器と歩行車の違いは何ですか?
A. 明確な定義は製品によって異なりますが、一般に「歩行器」は持ち上げて前進するタイプ、「歩行車」はキャスターやタイヤがついて転がして使うタイプを指すことが多いです。使用者の歩行能力や安全性に合わせて選択してください。
Q. 自走用と介助用、どちらを選べばよいですか?
A. 使用者が自力で車いすをこぐ能力・意欲がある場合は自走用、主に介助者が押して移送する場合は介助用が適しています。リハビリの方針も踏まえ、担当スタッフと相談の上で選定することを推奨します。
Q. アルミ製とスチール製、どちらが病院・施設向きですか?
A. アルミ製は軽量でスタッフが取り回しやすく、多頻度での移送が多い施設に向いています。スチール製は一般的にコストを抑えやすく、主に定置使用や台数を多くそろえる場合に検討されることがあります。
Q. 保険適用・福祉用具貸与の対象になりますか?
A. 介護保険の福祉用具貸与対象となる種目(歩行器・車いすなど)もありますが、適用条件は要介護度や使用状況によって異なります。詳しくはケアマネジャーや担当窓口にご確認ください。