搬送用資器材は、急病・負傷・災害時に傷病者を安全かつ迅速に移動させるための重要な備品です。施設の規模・用途・保管スペースによって最適な種類が異なるため、導入前にポイントを整理しておくことが大切です。病院・クリニック・介護施設・防災備蓄など、購入目的に合わせた選び方をわかりやすく解説します。
搬送用資器材を選ぶ際は、「誰が」「どこで」「どのような状況で」使うかを明確にすることが出発点です。以下の5つのポイントを確認しながら、自施設・用途に合った製品を絞り込みましょう。
搬送用資器材には複数のタイプがあり、それぞれ適した使用シーンが異なります。代表的な種類とその特徴を以下にまとめます。
■ シート型(レスキューキャリーマット等)
薄く軽量で、狭い場所や床面からの引き出し搬送に適しています。複数名で把手を持って使用でき、訓練なしでも比較的扱いやすいのが特長です。防災備蓄や施設の緊急避難用として広く採用されています。
■ 折りたたみ型(二ツ折担架・携帯用折りたたみ担架等)
使用時に展開し、収納時はコンパクトに折りたためるスタンダードなタイプです。フレームにスチールや軽金属を使用し、張地に帆布やナイロンを組み合わせた製品が主流です。腕固定機能付きのモデルは搬送中の安全性を高めます。専用の担架格納箱と組み合わせることで、廊下や倉庫への設置・管理が容易になります。
■ ボード型(スパインボード等)
脊椎損傷が疑われる傷病者の搬送に使われる硬質ボードタイプです。身体を固定するストラップが付属するモデルが多く、ガイドラインに沿った固定搬送が可能です。救急・消防・スポーツ施設などで活用されます。最終的な選定・運用は医療・救急の専門家にご確認ください。
■ 背負い型(ワンタッチ式救護・介護担架等)
エレベーターなしのビルや狭い階段での垂直移動に対応するタイプです。1〜2名での操作を想定した設計で、ワンタッチ装着機能付きモデルは装着時間の短縮に役立ちます。救護用と介護ケア用でサイズ・仕様が異なる場合があるため、カタログ値を必ず確認してください。
■ 簡易担架・救助帯型
常備コストを抑えたい場合や、搬送補助として手元に置いておきたい場合に向いています。布製・ロープ型の救い帯タイプは超軽量で携帯性に優れ、AEDバッグへの同梱や防災ポーチへの収納にも活用されます。
製品仕様の確認時に見るべき主な項目をまとめました。購入前にカタログや仕様書で下記を照合すると、比較検討がスムーズです。
搬送用資器材は緊急時に即座に使用できる状態を維持することが重要です。日常の点検・保管管理のポイントを確認しておきましょう。
■ 定期点検
フレームのゆがみ・溶接部のひび割れ・張地の破れ・縫い目のほつれ・ストラップのバックル動作不良などを定期的に目視点検します。異常が見つかった場合は使用を中止し、速やかに交換を検討してください。
■ 清拭・衛生管理
使用後は血液・体液が付着している可能性があるため、施設の感染管理ガイドラインに従って清拭・消毒を行います。張地が取り外し可能なモデルは洗浄がしやすく衛生的です。
■ 保管場所の選定
「すぐに取り出せる場所」に保管することが大前提です。担架格納箱(スチール製など)を活用すると、廊下や玄関付近への設置・施錠管理が可能です。直射日光・高温多湿を避け、樹脂部品やゴム部品の劣化を防ぎます。
■ 操作訓練の実施
実際の緊急時に適切に使用できるよう、定期的に搬送訓練を実施することを推奨します。特にボード型・背負い型は固定手順の習熟が安全な搬送に直結します。
施設や使用目的に応じた選び方の目安を整理しました。複数タイプを組み合わせて備えることで、多様な搬送シナリオに対応しやすくなります。
■ 病院・クリニック
院内搬送・緊急時対応を目的とする場合は、折りたたみ型担架を基本に、脊椎損傷対応が必要な診療科ではスパインボードタイプの検討も視野に入れます。医療機器として認定された製品については、最終的な選定を担当医師・臨床工学技士などの専門家にご相談ください。
■ 介護施設・高齢者施設
利用者の体格・スタッフ数・建物構造(階段の有無)に合わせて選定します。エレベーターがない建物では背負い型、フロア内移送ではシート型や折りたたみ型が有効です。介護用と救護用で仕様が異なるモデルもあるため、用途を明確にして選びましょう。
■ オフィスビル・商業施設(防災備蓄)
軽量・コンパクトで保管場所を取らない簡易担架・シート型が中心になります。AED設置場所や防災備品庫にあわせて格納箱とセットで整備すると管理しやすくなります。
■ スポーツ施設・学校
競技中の外傷対応を想定し、折りたたみ型または簡易ソフト担架を複数箇所に分散配置しておくと安心です。
Q1. 担架は何人で使うことを想定して選べばよいですか?
製品ごとに推奨使用人数が設定されています。折りたたみ型・シート型の多くは2〜4名での使用を想定していますが、背負い型は1〜2名での操作を前提とした設計です。スタッフの配置状況に合わせて確認してください。
Q2. 耐荷重はどのくらいを目安にすればよいですか?
対象者の最大体重に対して十分な余裕(一般的には2倍程度)のある製品を選ぶことが安全管理の基本です。仕様書の耐荷重表記を必ず確認してください。
Q3. シート型と折りたたみ型はどう使い分ければよいですか?
シート型は狭い場所・床面での使用や引きずり搬送に向き、折りたたみ型は通常の2〜4人搬送に適しています。用途・搬送経路・スタッフ数に応じて使い分けるか、両方を備えておくとより柔軟に対応できます。
Q4. 担架格納箱は必ず必要ですか?
必須ではありませんが、廊下・ロビーへの設置・鍵管理・担架の保護・一目で場所がわかる視認性の確保などのメリットがあります。防火戸・非常口付近への設置を検討する場合は、設置基準・消防法を確認の上ご導入ください。
Q5. 介護担架と救護担架は何が違いますか?
介護担架は介護ケア・施設内移送を主目的として設計されており、体への当たりを和らげる仕様や介護者が扱いやすい構造になっている場合があります。救護担架は救急・救助を主目的とし、強度・固定機能を重視した設計が一般的です。製品仕様・用途表記を確認し、目的に合ったものを選んでください。