DMAT(災害派遣医療チーム)関連用品は、大規模災害時に傷病者への迅速な医療支援を行うために欠かせない装備品です。活動の性質上、過酷な環境下での耐久性・携行性・即応性が求められるため、平時からの計画的な整備が重要です。本ガイドでは、病院・クリニック・介護施設・自治体の購買担当者を対象に、DMAT関連用品を選ぶ際の主なポイントをわかりやすく解説します。
DMATは厚生労働省が認定する災害派遣医療チームであり、地震・津波・大規模事故などの現場に迅速に出動し、医療活動を行います。そのため、DMAT関連用品は「現場に持ち込める」「すぐに使える」「誰でも扱いやすい」という三つの要件を同時に満たす必要があります。
購入・整備にあたっては、まず自施設や自チームがDMAT隊員の派遣元となるのか、あるいは受援(被災病院として支援を受ける)側の準備をするのかを明確にすることが大切です。役割によって必要な用品の種類や優先順位が変わります。また、国や都道府県が定めるDMAT活動要領・装備基準を事前に確認したうえで選定を進めることが推奨されます。
DMAT関連用品は大きく「トリアージ用品」「処置・救急用品」「通信・情報機器」「個人装備・ウェア」「輸送・搬送用品」「ロジスティクス用品」の6カテゴリに分類されます。各カテゴリを網羅的に確認することで、整備の抜け漏れを防ぐことができます。
災害現場では、悪天候・粉塵・断水といった過酷な環境下での使用が想定されます。製品選定時には以下の観点を必ずチェックしてください。また、トリアージタグや医療機器に相当する製品については、規格・認証の有無を購入前に確認することが重要です。医療機器として承認・認証された製品の最終選定については、医師・看護師などの医療専門職と連携して行うことを強くお勧めします。
代表的な用品について、主な種類と規格の違いを把握しておくと選定がスムーズになります。
■トリアージタグ
国内では4色(黒・赤・黄・緑)のカテゴリ分類が標準で、JIS T 1004準拠品が広く使用されています。単票式と多連式(副票付き)があり、統計集計や搬送先の記録管理には多連式が便利です。
■止血帯(ターニケット)
巻き付け型(CAT型など)と空気圧式があります。操作の簡便さと確実な止血力のバランスを考慮して選びます。
■担架・搬送具
アルミ製折りたたみ担架は軽量で普及していますが、要救助者の体格に応じた耐荷重を確認する必要があります。スクープストレッチャーは脊椎損傷が疑われる傷病者の移動に配慮した設計のものが多く見られます。
■個人装備(ベスト・ジャケット)
DMATロゴ入りや反射材付きのものが多く、現場での視認性確保に役立ちます。サイズ展開と着脱のしやすさも選定基準に含めましょう。
DMAT関連用品は「いざというとき確実に機能する状態」を維持することが最重要です。平時の管理が不十分だと、実際の災害出動時に用品が使えないという事態を招きかねません。以下の点を定期的にチェックする管理体制を整えましょう。
Q. 何から揃えれば良いかわからない。優先順位は?
A. まず「トリアージタグ」「止血帯」「個人装備(ベスト・ヘルメット)」「通信手段」の4点を優先的に整備することをお勧めします。これらは現場での初動対応に直結するアイテムです。その後、施設の規模・役割・予算に応じて搬送用品・ロジスティクス用品へと順次拡充していくのが現実的です。
Q. 一般の救急用品とDMAT用品は何が違うの?
A. 基本的な資材は重複するものもありますが、DMAT用品は「多数傷病者対応(MCIマネジメント)」「チーム単位での活動」「現場から病院への搬送連携」を前提とした量・規格・携行性になっている点が特徴です。トリアージタグや活動記録様式など、DMAT活動に特化した専用品も存在します。
Q. 施設規模が小さくてもDMAT装備は必要?
A. 派遣チームを持たない施設でも、受援時の受け入れ準備やBCP(事業継続計画)の観点から、最低限のトリアージ用品・個人防護具・通信手段の整備は推奨されています。都道府県や地域の災害医療コーディネーターに相談すると、地域実情に合ったアドバイスを得られます。
Q. 更新・補充のタイミングの目安は?
A. 消耗品は使用期限に従い、機器類は年1回以上の動作確認と必要に応じた修理・更新を目安にしてください。訓練や演習で実際に使用した分は、その都度補充する運用ルールを定めておくと管理しやすくなります。