大人用おむつには大きく「テープ式」と「パンツ式」の2タイプがあり、利用者の身体状況・ケア環境・介助者の負担によって最適な選択が異なります。誤った選択はスキントラブルや業務効率の低下につながるため、現場での判断基準を明確にしておくことが重要です。本記事では両タイプの特徴を整理し、施設・在宅それぞれの場面に応じた使い分けの考え方を解説します。
まず現場での選択に迷ったときの大まかな目安を示します。詳細は各セクションで解説します。
テープ式おむつは腰回りのテープで固定するフラットな形状で、主に臥位(寝た状態)でのケアを前提に設計されています。ウエスト・レッグ部分のフィット調整が細かくできるため、体型差や浮腫(むくみ)のある利用者にも対応しやすいのが強みです。また、交換時に全開きできるため、殿部・会陰部の観察・清拭を行いやすく、褥瘡予防ケアと組み合わせやすい点が病院・介護施設で重宝される理由のひとつです。一方、立位での交換は難しく、パンツ式に比べて装着に一定の技術と時間が必要です。テープの貼り直し回数にも限界があるため、スタッフ間で装着方法を統一しておくことが漏れ防止につながります。
パンツ式おむつは下着と同様に引き上げて履くタイプで、立位・座位での着脱が可能です。リハビリ中でトイレ動作を練習している方や、自力または軽介助でトイレへ行ける方に適しており、「下着に近い」外観と感覚が利用者の自尊心を守ることにもつながります。介助者にとっても立位交換は腰への負担が少なく、トイレ誘導の際にスムーズに着脱できる点が業務効率の向上に貢献します。ただし、テープ式に比べてウエストの調整幅が限られるため、体型の変動が大きい時期には漏れが生じやすくなります。また、汚染が広範囲になった場合は立位での交換が難しく、テープ式への切り替えを検討する必要があります。
施設・在宅・病院それぞれの環境と、利用者の状態によって最適なタイプは異なります。以下の区分を参考に、ケアプランや看護計画と照らし合わせながら選定してください。
**■ 急性期病院・術後管理**
安静保持や点滴・ドレーン管理中はテープ式が基本です。腹部手術後など腹圧をかけたくない場面でも、臥位での交換が利用者への負担を抑えます。
**■ 回復期・リハビリ病棟**
ADL(日常生活動作)の回復に合わせてパンツ式へ移行するタイミングを検討します。立位が安定し始めたらパンツ式の導入を検討し、トイレ動作の自立を促す支援につなげることが望ましいです。
**■ 特別養護老人ホーム・介護老人保健施設**
重度利用者にはテープ式、生活リハビリ継続中の利用者にはパンツ式を基本とし、夜間・日中で使い分けるハイブリッド運用が施設では広く採用されています。
**■ 在宅介護**
家族介護者の技術や体力に合わせた選択が重要です。立位交換が難しい介護者にはテープ式の方が安全に実施できるケースもあります。訪問看護師やケアマネジャーと相談しながら決定することを推奨します。
おむつのタイプ選択はスキントラブル予防とも密接に関係しています。どちらのタイプを使用する場合にも以下の点を現場で確認してください。
**サイズ適合の確認**:ウエストやレッグ部分が締め付けすぎると圧迫性の発赤・皮膚損傷を招きます。テープ式では指2本が入る程度のゆとりを目安にし、パンツ式では歩行・座位でのずれを確認しましょう。
**交換頻度の設定**:吸収量だけに頼って交換頻度を下げすぎると、高温多湿な閉鎖環境が続きIAD(失禁関連皮膚炎)のリスクが高まります。排泄量・頻度に応じた交換間隔を定め、皮膚観察を毎回実施してください。
**パッドの併用**:テープ式・パンツ式ともに専用パッドを組み合わせることで、外側のおむつを交換せずにパッドのみ交換できるため、皮膚への摩擦刺激を軽減しつつコスト管理にも貢献します。
**テープ式の貼り替えによる皮膚刺激**:テープの貼り直しを繰り返すと、テープ周囲の皮膚に刺激が加わります。一度で適切な位置に固定できるよう、スタッフへの技術教育を定期的に実施することが重要です。
テープ式とパンツ式のおむつは、それぞれの設計思想が異なるため「どちらが優れている」という絶対的な答えはありません。重要なのは、**利用者の身体機能・ADLレベル・排泄量・ケア環境・介助者の状況**を総合的に評価し、定期的に見直し続けることです。
以下の3点を実務上のチェックリストとして活用してください。
① **定期アセスメント**:利用者の状態は変化します。特にリハビリ進行中・体重変動・疾患の進行時は、おむつの種類とサイズを再評価するタイミングとして捉えましょう。
② **多職種連携**:おむつの選定は看護師・介護職・リハビリ職・ケアマネジャーが情報を共有して判断することが望ましく、医師の指示が必要な場合は必ず確認してください。
③ **コスト管理との両立**:パッドとの組み合わせによる使い分けは、適切な交換頻度を保ちながら消耗品コストを最適化できます。施設全体の運用ルールとして標準化することを検討してください。
本記事の内容はあくまでも一般的な選択の目安です。個々の利用者に応じた最終的な製品選定・ケア計画については、医師・看護師などの専門職にご相談ください。